なぜ、野球を
教えているのか。
「優勝の盾を持った写真の中で、
自分だけ全然嬉しそうじゃなかった。」
父が創設した選抜チームに入れてもらった。技術は高くなかった。雑用を徹底してこなしながら、チームは優勝した。でも写真の自分は、まったく笑っていなかった。
その後もずっと、「あと一歩」が続いた。中学では県大会に出られず、高校は夏の初戦敗退。大学4年間やっても、リーグ戦にあと一歩届かなかった。ドイツへ渡っても、明らかに自分の方が実力があるのに使ってもらえない時間があった。
変わったのは、大学時代に出会ったトレーニングジムだった。「体の使い方」を学んだとき、初めて自分が変われると感じた。ドイツでも自分で情報を集め、試して、検証する——その繰り返しの先に、そのシーズン誰も成し遂げていなかった勝利があった。
野球はしんどかった。でもその野球が、自分をドイツへ連れて行き、世界と繋いでくれた。アメリカに目を向けた選手の人生が変わっていくのを、何度も見てきた。